玉城デニー知事が1期目の任期満了を迎える9月29日まで、残り2カ月を切った。豚熱や首里城火災、新型コロナウイルスなどに見舞われる中、沖縄の日本復帰50年の節目を迎え、第6次沖縄振興計画を策定し、沖縄の将来像を描く取り組みを推進した。2018年の県知事選では「新時代沖縄」「誇りある豊かさ」「沖縄らしい優しい社会」を掲げ、291項目の公約を示したが、4年間で「完了」したのは8項目にとどまる。玉城知事の公約を点検しつつ、4年間の県政運営を振り返る。
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危機管理 災害・感染症 対応に奔走
玉城知事は任期中、首里城火災や感染症の流行、自然災害などの危機事案への対応に追われた。県内でも新型コロナウイルスの感染拡大が起きて現在も続く。
19年10月の首里城火災では、焼失が激しく、明確な火災原因は突き止められなかった。玉城知事の支持者の一部からは県内外から寄せられた寄付金などを原資に、県主導での復元を求める声も上がったが、国主導の形で復元計画は進んだ。今年11月に正殿再建工事の着手が予定される。
20年1月には1986年以来、34年ぶりに県内で豚熱(CSF)が確認された。計10農場で殺処分が行われ、20年3月以降は確認されていない。
豚熱の直後に県内で広がった新型コロナの流行は、全国でも高い感染拡大の波を繰り返し、県民が医療にアクセスしづらい状態に度々陥っている。玉城知事は感染防止対策をとるための財源不足を訴え、国に十分な財政措置を求めている。
21年10月からは小笠原諸島の海底火山の噴火により噴出した軽石が県内各地に大量漂着する事案もあった。軽石は本島北部と離島を中心に押し寄せ、出漁を控える漁船が続出した。県は全庁的に協議する「軽石問題対策会議」を設置。国の補助事業を活用して撤去を進める。
(梅田正覚)
環境 自然遺産の登録実現
本島北部と西表島の世界自然遺産登録は公約で掲げている通りに実現した。ただ、ヤンバルクイナやケナガネズミなど固有種の交通事故は相次ぎ、今後は観光客の増加による「オーバーツーリズム」なども懸念される。玉城デニー知事は登録決定時に「百年、千年先まで、貴重な自然遺産を残していく」とし、環境保全への取り組みを強化する考えを示した。
さらに玉城県政は今年3月には「県クリーンエネルギー・イニシアティブ」を改定した。20年度の再生可能エネルギーの電源比率約8・2%から、30年度時点の比率を最大26%に引き上げる挑戦的な目標を掲げた。
一方で、任期中に米軍や自衛隊基地から発がん性の恐れがある有機フッ素化合物「PFOS」が流出する問題が顕在化した。玉城県政は本島中北部の米軍基地周辺で水質調査を実施している。
公約ではジュゴンや世界有数のアオサンゴが生息する、名護市辺野古の海や大浦湾の国立公園化のほか、国立自然史博物館の誘致を掲げているが、具体化はしていない。
(武井悠)
【玉城知事の4年と公約点検】