入院治療が必要な新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れる沖縄県那覇市の入院待機ステーションに1日、国が派遣した応援看護師が入り、業務を始めた。本来は入院調整の間、一時的に療養する施設だが、医療機関の病床逼迫(ひっぱく)により同施設で長期療養する人が増加している。施設関係者は「バッファー(緩衝)ではなく主戦場」と指摘する。病院の病床が逼迫する中、患者を受け入れる「最後のとりで」(県担当者)となっており、県は病床数を現在の50床から75床に増やして患者の増加に備える。
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県保健医療部によると第1陣として22人が来県した。1日は11人が現場入りし、今週中に開設する予定の第3病棟25床の準備を始めた。
神戸赤十字病院看護師の三宅翠さん(32)は「所属している病院もいろいろな人にサポートしてもらった。設備や環境の違いに不安もあるが、少しでも沖縄の医療の助けになりたい」と話した。
同施設は病床数25床で運用してきたが、7月の3連休以降は運ばれてくる患者が急増した。第1病棟の病床数を31床に増やして備えたが、先週後半には全てが埋まった。30日には2病棟で50床に増やしたばかりだった。綱渡りの運営が続いている。
医療従事者の負担も高まる。運営に慣れた看護師を中心に夜勤から昼勤まで連続し、一時的に24時間勤務のような状況も生じたという。看護師の一人は「毎日めまぐるしく、ほとんど休憩にも行けない」と施設の実態を語った。
施設の儀間大志看護総括は「たくさんの人が応援にきてとても助かっている。一緒に(感染拡大の)波に立ち向かいたい」と話した。
1日午前11時現在の使用病床数は18床。第1病棟は点滴や酸素投与などの医療が必要な人を中心に12床、第2病棟は高齢者らが6床を使用する。
DMAT(災害派遣医療チーム)の派遣で施設の支援に入る災害対策アドバイザーの林洋克さんは、感染拡大で病院の病床確保が厳しさを増す中「入院待機ステーションを造っていたことが大きな力になっている。他県に比べると一歩先をいっている」と取り組みを評価する。医療の負担を減らすために、手指消毒など感染防止策の徹底を県民に呼び掛けた。
(知念征尚)
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