ひめゆり元学徒が語った松代大本営壕 動員された病院壕と重ね「気持ちの整理がつかない」 91年の長野市での証言音声、沖縄の資料館に寄贈<信濃毎日新聞提供>


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 太平洋戦争末期、旧日本軍が皇居や大本営、政府機関を移転するため長野市に造った松代大本営地下壕(ごう)(松代壕)に関し、沖縄戦で動員された「ひめゆり学徒隊」の元学徒らの証言を収めた音声データが、糸満市のひめゆり平和祈念資料館に寄贈された。長野市の「松代大本営の保存をすすめる会」(現NPO法人松代大本営平和祈念館)が、1991年に市内で開いた講演を収録。昨年8月に94歳で亡くなった宮良ルリさん(元ひめゆり平和祈念資料館館長)の証言が含まれる。

 音声データの中で、宮良さんは自身が沖縄戦で動員された病院壕と松代壕を比較し「気持ちの整理ができません。非常に高ぶる思いを持っておるのでございます」と吐露した。

 「つどい」で司会を務めた元中学校教諭の飯島春光さん(69)=長野県千曲市(ちくまし)=は、証言をこのほど聞き直した。「何のために沖縄で住民が犠牲となり、松代で掘削に関わった朝鮮人が犠牲となったのかを考えさせられた。『国体護持』がもたらしたさまざまな犠牲を沖縄と共有したい」と考え、寄贈を決めた。

 ひめゆり平和祈念資料館学芸課の古賀徳子課長(51)は「証言者の高齢化が進む中、音声や映像で生の声に触れる重要性は増している」と寄贈を歓迎。沖縄が本土防衛の防波堤とされたことを改めて考えるきっかけにもなるとし、長野から修学旅行生が訪れた際に紹介するといった活用法を検討する。
(信濃毎日新聞提供)