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勝ち・負け 琉球通運代表取締役会長・新垣直人<仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 8月。タイトルに掲げた「勝ち負け」という話をすると、日本人はまず戦争を思い出すだろう。世界で唯一原爆を落とされた国からすると、「戦争に負けた」というイメージを思い浮かべる人が多いはずだ。しかし勝ち負けには些細なことが多い。私たちは日常生活の中で数々の勝ち負けの中で生きているのだ。

 人は「他人より優位に立ちたい」と思う気持ちから、自然と心の中で相手より優れていると思われることを見つけ出しマウントを取ることがある。こうして些細な勝ち、負けが始まる。その様にすぐマウントを取ろうとする人は、教育や周囲の環境といった後天的な要素が強いと思われる。例えば、大卒の人で相手が高卒と聞くと勝ったと思い、相手が大学院出身と聞くと負けた気になるように。

 この様な些細な勝負事に対する執着が対抗意識に変わり、沖縄が創られたと感じるのだ。それは戦争に負けた日本が沖縄を蔑(ないがし)ろにした過去の歴史から、本土の人たちには負けないという強い気持ちが後天的に身に付いたものと考えられる。

 さまざまな勝ち負けの中で、誰もが勝ちも負けも認め、たたえ合うのはスポーツではなかろうか。スポーツにはスポーツマンシップという言葉がある。勝っても負けても相手を思いやり、尊敬や称賛、一個人として正しい行いの総称である。沖縄県民の勝ち気なところが意固地にならず、スポーツマンシップにのっとって先に進む原動力になってもらいたいと思う。