【動画】白い夏 ~シャコガイの白化~ <沖縄・海の生き物たち Vol. 55>


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まるでお湯のよう…海水温が高すぎて海の生き物が大変!

今年の夏も暑くなりました。連日、気温が33度を超える日が続くと、さすがに海水温も上がります。サンゴ礁の内側の浅瀬では、潮が引いて水の流れが止まる時間帯になると、本当にお湯のようです。

そうなると、生きものたちは大変!魚は少しでも冷たい方に泳いでいけるけれど、サンゴなどの動けない生きものは、逃げることができません。水温が高すぎると、サンゴに共生している褐虫藻という植物プランクトンが、サンゴから抜け出してしまいます。そうすると、サンゴの体が透明になり、内側の骨格が白く透けて見えるので、これを白化といいます。サンゴは、褐虫藻が光合成で作る栄養をもらって生きているので、サンゴの命にとって白化は赤信号。長期間水温が下がらないと、サンゴは死んでしまいます。

褐虫藻と共生する生きものは、サンゴだけではありません。実は、クラゲやイソギンチャク、二枚貝やウミウシの仲間にも、褐虫藻と共に生きている種類があります。

8月半ば、海ではシャコガイの外套膜が白化していました。普段はこの膜に褐虫藻が住み、シャコガイは膜を広げて日光浴をして、栄養を作ってもらうのです。中には白化していない個体もいて、暑さに強いのと弱いのがいるのかもしれません。この夏の厳しい暑さもあと少し。なんとか乗り越えて生き延びるよう、頑張れシャコガイ!

Vol. 55 ヒメジャコ

Tridacna crosea

● 目:ザルガイ目 Cardiida

● 科:ザルガイ科 Cardiidae

● 属:シャコガイ属 Tridacna

動画撮影: 

ヒメジャコ 2022年8月15日(浦添市 てぃだ結の浜)

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒、福井県立大大学院修了、東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。沖縄の海辺を考える「里浜22」や、温暖化対策に取り組む「ゼロエミッションラボ沖縄」でも活動中。

 

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