広島県を通じて戦艦大和乗組員の追加刻銘を働きかけている広島経済大学名誉教授の岡本貞雄さんは、同大の学生らを連れ、沖縄戦の戦跡や慰霊碑を徒歩でめぐる慰霊の旅「オキナワを歩く」を続けてきた。平和の礎について「軍人や民間人の区別なく、亡くなった方全ての名前を刻む意義は大きい」と指摘する。「大和を全体で見ると『英霊』として扱われることもある。平和の礎に刻銘されることで、一人一人と向き合い、死を悼むことにつながる」と、追加刻銘に重要な意義があると強調する。
大和と共に僚艦5隻も沈んだが、僚艦の乗組員が平和の礎に刻銘されているかは不明だ。「海で亡くなった方は遺骨収集すらできない。なんとか名前だけでも残せないか」と、さらなる取り組みの必要性を訴える。
県外出身者の追加刻銘は都道府県ごとに申請を受け付けるが、各県は遺族の申請を待つのが基本で、行政が自ら刻銘を働きかけることはほぼない。沖縄県や各都道府県が、残された資料を基に積極的に追加刻銘に向けて動くことも期待した。
(稲福政俊)
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