【記者解説】観光関連の回復、他産業へ波及 原材料高騰など楽観視はできず 沖縄7月求人27カ月ぶり1倍台


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沖縄労働局

 沖縄労働局が発表した7月の有効求人倍率(就業地別、季節調整値)が1.01倍となり、27カ月ぶりに1倍を上回った。感染対策と経済活動を両立させるウィズコロナが浸透する中で入域観光客数の回復傾向が続き、観光関連需要が他の産業にまで波及したことで求人数を底上げした。

 沖縄では18年度に入域観光客数が1千万人を超え、基幹産業の観光がけん引することで他の産業に好影響をもたらし、県内経済も活況を呈した。

 しかし、新型コロナウイルスの感染が20年初頭から国内でも広がり、政府は4月に全国を対象に緊急事態宣言を発令。旺盛だった観光需要が蒸発し、同年5月以降の有効求人倍率は1倍を下回る低空飛行が続いた。

 有効求人倍率の推移を見ると、21年8月の0・80倍を底に改善傾向に転じている。県内では同年9月末に4カ月間続いた緊急事態宣言が解除されると、人流の回復を受けて人手不足感が各産業で顕在化した。その後まん延防止等重点措置が適用されたものの、人手不足を背景に大幅な求人減には至らなかった。

 今年4月以降は行動制限のないことから入域観光客数も順調に回復しており、その影響で各産業で求人が伸びている。ただ、コロナに加え、エネルギーや原材料の高騰などのマイナス材料もあり、経済環境は依然見通しが悪い。雇用への影響は楽観視できない状況が続いている。
 (小波津智也)


県内7月求人、上昇1.01倍 27ヵ月ぶり1倍台に 宿泊飲食が堅調推移 観光回復、他産業へ波及