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690グラムの産声に生命力感じ 「愛せないかも…」産前に抱いた不安吹き飛ぶ<手のひらの命・低出生体重児の今>


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新生児集中治療室(NICU)に入院中の晴さん(石上朱美さん提供)

 私はこの子を愛せないかもしれない―。2014年2月。石上朱美さん(39)=名護市=は、生まれようとしているわが子をおなかに感じながら、涙した。当時妊娠22週。赤ちゃんの推定体重は500グラムほどだった。

 経過は順調だった。いつも通り妊婦健診に行くと、診察台のカーテンの向こう側が突然慌ただしくなった。医師や助産師が「触れる」と焦りを含んで話す声が聞こえてきた。赤ちゃんが出てこようとしていた。

 すぐに救急搬送され、医師から早い時期に生まれてくる可能性が高いことを告げられた。体重千グラム未満の「超低出生体重児」は生まれてきても亡くなったり、病気や障がいがあったりする可能性が高い。「障がいがあったら愛せない。育てられない」。生まれてくる喜びよりも先にそう考えてしまう自分を責めた。

 妊娠24週3日、次男の晴(はる)さんは690グラムで生まれてきた。「うんぎゃっ」。全身麻酔で意識がもうろうとする中、遠くから聞こえてきた産声に、強い生命力を感じた。「ああ、この子も私も絶対に大丈夫」。不安は吹き飛んでいた。


 妊娠、出産、育児を通して、低体重児の家族がどのような思いを抱いてきたのかをひもときながら、今後必要な支援の在り方について考える。
 (嶋岡すみれ)


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