火薬で遊ぶ子どもに「戦争は終わった後も続いてる」 大学院生らが座間味島の生活史を聞き取り


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座間味村で聞き取り調査をする大学院生ら

 【座間味】立命館大大学院先端総合学術研究科の岸政彦教授が5人の院生たちと14日、「座間味の戦前・戦後の生活史」の聞き取り調査を行った。京都大や一橋大の学生も参加し、5人の語り手から生活史を聞き取った。語り手は70代後半から90代で、南洋で生まれた人や嫁いできた人と幅広く、座間味島の多様な生活史が語られた。

 調査前に、沖縄県座間味在住の宮平賢さんによるフィールドワークに参加し、学生たちは島内を歩きながら理解を深めた。宮平さんは自身の個人史を交え、島の歴史や村民たちの生活ぶりを伝えた。京都大大学院人間・環境学研究科の大久保遥さんは「火薬に火をつける遊びが子どもたちの間ではやるくらいに火薬が地面に残っているというエピソードから、戦争というものは、終わった後も続いているものだと感じた」と話した。午後から学生たちは聞き取り調査を行った。

自らの体験を語る宮里つる子さん

 宮里つる子さん(88)は戦前に屋嘉比島で暮らしていたこと、戦争で母親が流れ弾に当たり目の前で亡くなったことを涙ながらに話した。また、親を亡くした戦後の厳しい生活を語り、夫との出会い、結婚については笑みを漏らしながら振り返った。

 立命館大大学院先端総合学術研究科の柴田惇朗さんは、聞き取り後、「沖縄戦の経験の多様性を感じられる語りを聞かせてもらい、とても勉強になった」と話した。

 聞き取り調査は報告書にまとめ、座間味村役場や座間味小中学校、語り手の方らに配る予定。

(山本和通信員)