【詳報④】那覇市長選 クロス討論で白熱 両氏が互いにぶつけた質問とその答えは 立候補予定者座談会


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(左)翁長雄治氏 (右)知念覚氏

 23日投開票の那覇市長選に向けて琉球新報社が実施した立候補予定者座談会では、無所属新人で前県議の翁長雄治氏(35)=共産、立民、社民、社大、れいわ、にぬふぁぶし推薦=と、無所属新人で前副市長の知念覚氏(59)=自民、公明推薦=の2氏がそれぞれが目指す県都・那覇市のビジョンを掲げた上で、経済振興や子育て・教育環境整備で独自の施策を打ち出した。クロス討論では政治姿勢などを巡り、白熱した議論を展開。16日の告示を前に論戦は熱を帯びた。知花亜美琉球新報暮らし報道グループ長が司会を務めた。(’22那覇市長選取材班)(文中敬称略)


知念氏から翁長氏へ

軍港移設容認を貫けるか? → 議員時代から変わらぬ

 知念 子育て日本一を実現するために実施を考えている新たな政策と具体的な事業内容、予算と財源は。

 翁長 思い入れのある政策として児童相談所を掲げている。同じ中核市である兵庫県明石市も市独自で設置し、7億円前後の一般財源で運営し、国や県とも協力している。当然予算の組み替えなどが必要だと思うが、那覇市の責務として取り組みたい。

 知念 裏付けとなる財源は検証中か。臨時財政対策債を使うのか。明石市がどのように財源を生み出したのかの認識は。

 翁長 明石市の財政、人口規模は那覇市よりも一回り小さいくらいの規模だと考えている。(事業に)さまざまな優先順位を付けながら子育てに予算を付けていく。できる限り将来世代に負担を強いない形でやりたい。

 知念 翁長氏の支持団体には那覇軍港の浦添移設に反対する勢力もある。容認を貫けるか。

 翁長 支援を頂いている関係者の中には反対している人がいることも承知している。私は議員時代から那覇軍港については移設容認の立場で活動してきた。今回も、軍港問題についてのスタンスを市民の皆さまに説明しながら進めている。

 知念 浦添移設について城間幹子市長は、もし浦添市の賛否が変わっても移設容認の姿勢は変わらないと答弁した。翁長氏も同じ意見か。

 翁長 われわれの中では8年前からこの問題が指摘されてきた。翁長県政も玉城県政も城間市政でも、私たちのスタンスは崩さずにやってきた。私も当然、その(容認の)立場でやる決意を市民や支援頂いている皆さんに説明している。


翁長氏から知念氏へ

「中央とのつながり」とは? → 実績や人脈含めた関係

 翁長 辺野古新基地問題について県側、政府側、どの立場に立つのか。このまま裁判を見守るという曖昧な姿勢を持ち続けるのか。

 知念 市町村行政の基本スタンスとして、互いの首長の判断は尊重されるべきだと考えている。私はその域を出ないということだ。名護市民が苦渋の決断で選び、名護市長が出した姿勢を尊重する。

 翁長 県民投票や知事選における反対の民意が尊重されていない現状をどう思うか。

 知念 県民投票の結果が民意だと思っている。それは尊重されなければならない。どのような形で尊重するかは、国全体の問題なので日米両政府がしっかりと考えて示してほしい。そういうものを含んだ上で名護市長選が行われたので、渡具知武豊市長の思い、スタンスを尊重する。

 翁長 出馬会見で「中央とのつながりは非常に重要だ」と答えている。中央とのつながりとはどういうものか。

 知念 中央とのつながりは実績と人脈を含めた信頼関係だと思う。首長は予算を獲得できるのか、国を動かす力があるかどうかが求められている。特にソフト交付金減額の中、特定事業推進費で第一牧志公設市場を建てた。それが中央との結びつきだ。

 翁長 政府との信頼関係とは具体的に何を指すのか。国が言うことに首を振らない(反対しない)ということか。

 知念 公設市場の前段に那覇空港の第2滑走路事業があった。漁業権の問題がネックになり、時間が長引く可能性があった。その危機を那覇市が主導して解決した。一つ一つ積み上げて信頼関係が成立する。


【動画あり】翁長氏、知念氏が論戦 那覇市長選立候補予定者座談会

【詳報①】那覇市長選 軍港移設、辺野古への対応は? 立候補予定者座談会

【詳報②】那覇市長選 玉城県政、岸田政権への評価は? 立候補予定者座談会

【詳報③】那覇市長選 子育て、経済振興にどう対応? 立候補予定者が座談会