〈126〉新型コロナとお産 ワクチンで感染防止を


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 2022年8月2日現在、オミクロン株の亜種出現により、沖縄は過去最大の感染者数を記録しています。そのような状況でも医療従事者の努力により、持ち堪(こた)えています。

 その中で妊婦さんの感染者はどうなのでしょうか?第5波、第6波まではなんとか乗り切った状態でしたが、第7波の現在までの妊婦の感染者数の増加率は第5波、第6波のそれを大きく上回り、いつお産に関わる医療システムが崩壊してもおかしくない状態です。

 妊婦さんのコロナ感染者のお産は、一般の産科施設では対応できず、高度医療施設への移送が必要です。高度医療施設では母親のウイルスがお産の際にお子さんに感染しないように万全の体制で臨まなくてはならず、細心の注意を要するものです。

 そのコロナ患者さんと対峙(たいじ)する医師や看護師、助産師らも、自らの感染予防を万全にして、分娩介助に臨まなければなりません。

 さらに感染者のお産のほとんどが児への感染予防の観点から帝王切開になります。分娩後も母親とお子さんは感染予防のために10日以上隔離が必要となります。

 また、コロナ感染者が早産の場合だと、新生児科のスタッフも完全防備の状態で、さらに未熟児専用の治療スペースの確保も必要となります。これまで、コロナ以前の診療においても、緻密で気の抜けない医療をおこなっていたのに、それをさらに感染拡大を防ぐという気の休まらない医療を、もう2年以上も続けているのです。

 そこで、今一度ご自分とご家族の生活・行動が感染につながっていないか、考えてみてください。沖縄県の3回目のワクチン接種率は全国で最も低くなっています。まだワクチンを接種していない妊婦さんやご家族の方には、ぜひワクチン接種の検討をお願いいたします。

 このままでは安全なお産の確保が困難になってしまいます。あなたの行動で、沖縄のお産を守る手助けをお願いいたします。

(上村哲、うえむら病院 産婦人科)