沖縄の共働き世帯の育児時間、妻は夫の5倍 家事全般も妻が5時間多く…識者「顕著なジェンダー差」


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男性の育児

 6歳未満の子どもがいる沖縄県内の共働き世帯が1日に費やす「育児」の時間は妻が3時間52分と長時間に及ぶが、夫は5分の1に満たない42分だったことが13日までに、国の2021年社会生活基本調査で分かった。育児に加え「家事」「介護・看護」「買い物」を合わせた1日の「家事関連時間」は妻は6時間43分だが、夫は1時間33分で、両者の差は5時間10分だった。

沖縄の男性の家事・育児への関与度、全国で何位?

 沖縄大でジェンダーを研究する成定洋子教授が、21年の社会生活基本調査を基に、育児世帯のデータを抽出して分析した。成定教授は「妻と夫がそれぞれ働いているにもかかわらず、特に子育ての時間に顕著なジェンダー差がある。『子育ては女性がするべきだ』という性別役割分業意識が表れている」と指摘した。

 さらに6歳未満の子どもがいる共働き世帯では、妻の1日の家事時間は2時間22分だったが、夫は4分1程度の36分で、育児の次に妻と夫の時間差が大きかった。一方、全国の6歳未満の子を持つ共働き世帯では、妻と夫の家事関連時間の差は4時間36分だった。沖縄は5時間10分で、30分以上の差があった。

 成定教授は「全国に比して、沖縄の共働き世帯の妻の家事育児負担がより深刻であることが分かる。女性が社会や職場で『活躍』できない理由や背景を、女性や家庭の自己責任問題にすり替えてはならない」と指摘。その上で「市場や職場、家庭や共同体などにおけるジェンダーに関わる意識や社会規範の影響を丁寧に見極めていく必要がある」と語った。

 社会生活基本調査は5年に1回の全国調査で、20年10月19日から21年10月20日の1年間の活動や行動を調べた。県内では約1700世帯が対象となった。 (梅田正覚)


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