「子や孫への影響が心配だ」「非常にショック」…PFASの高い血中濃度、市民団体が原因究明と基地立ち入り調査求める


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 米軍基地周辺の住民を対象にした市民団体によるPFAS血中濃度検査の結果を受け、検査に参加した住民は会見を開き、「子や孫への影響も心配だ」などと切実な声を上げた。予想はしていたものの、高い血中濃度が検出されて不安が的中した形となり「非常にショックだ」と声も聞こえた。一方、米ハーバード大医科大学院などの研究医らは6月、PFASの一種、PFOSの血中濃度が高い人は死亡リスクが上がるという分析結果をまとめた論文を発表した。

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PFAS血中濃度検査の結果を説明する「有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会」のメンバーら=15日、県庁

 「健康を守る立場である国が問題をおろそかにしている。人権侵害ではないか」。59人が参加した北谷町の住民の1人である女性(46)は語気を強めた。7市町村に供給する北谷浄水場では以前、国の暫定指針値を超えるPFASが検出された。「自分自身だけでなく子や孫への影響を気にする人も多かった。まずは健康を守るためにも原因究明を急ぐべきだ」と強く訴えた。

 米軍キャンプ・ハンセンを抱える金武町の男性(74)は、PFASが基地由来とされながらも米軍の拒否により立ち入り調査を実施できない、はがゆさをにじませる。「日米地位協定の存在が憲法を超えている。地位協定を早く見直すことが国の責務ではないか」と憤った。

 嘉手納町の男性(78)は、年齢が上がるにつれ蓄積度が増している結果を前に落胆を隠せない。北谷浄水場の水源でもある比謝川は幼いころの遊び場でもあった。「ショッキングな形で実感している」と語る。一方、嘉手納町は石川浄水場を利用しているものの、今回の結果では環境省調査よりも高い数値が検出されている。「住民の生存権の問題でもある」と話した。

 今回の調査を実施した「有機フッ素化合物(PFAS)から市民の生命を守る連絡会」は分析した京都大の原田浩二准教授を講師に12月8日午後1時から宜野湾市民会館で集会を開く予定。問い合わせは連絡会の高橋年男事務局長、電話090(1088)3007。

(新垣若菜)

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