県内政局はどうなる?追い込まれた「オール沖縄」勢力…「辺野古反対」の訴求力に限界も 自公は7市長選で全勝<那覇市長選>


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敗戦の弁を述べる翁長雄治氏=23日午後11時3分ごろ、那覇市古島の教育福祉会館(喜瀬守昭撮影)

 政権与党の自民・公明が推薦した知念覚氏が当選し、自公勢は「選挙イヤー」の7市長選を全勝で終えた。知事選での県政奪還は失敗したものの、「オール沖縄」が支える玉城デニー県政と対峙(たいじ)する環境を整えた。オール沖縄にとっては、無党派層が多い那覇での敗戦は名護市辺野古の新基地建設阻止の主張や政府との対決姿勢への訴求力に限界が見えた形だ。知事選での勝利も玉城氏の個人人気に頼った面がある。オール沖縄の出発地である那覇市で、オール沖縄は瀬戸際に追い込まれた。

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 自公勢力にとっては参院選、知事選と続いた主要選挙の敗北を打ち消した格好だ。県内11市のうち、オール沖縄を前面に掲げる首長が消滅し、県内政局での主導権争いを優位に進めそうだ。

 那覇市長選ではオール沖縄から離脱した保守系グループとの2本柱で支持拡大を図ったことが奏功。一方で自民側の一部にはこの手法に不信感も根強く見られた。ただ今回の勝利で、保守系の再結集議論が勢いづく可能性があり、今後の動きが注目される。

 オール沖縄は、支えてきた城間幹子市長が自民・公明推薦候補の支援に回り、勢力の革新色が一層濃くなった。内部でも実績不足との指摘があった翁長雄治氏を擁立したことで、人材不足という課題も改めて露呈した。

 内部で意見が割れる那覇軍港の浦添移設計画も近く表面化する。現状では共闘態勢の維持すらかなわない。「腹八分、六分」の姿勢をどう再構築し、勢力を回復できるかが問われる。
 (大嶺雅俊)

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