那覇軍港移設「T字型」で合意 浦添西海岸埋め立て、沖縄県は「離着陸なし」を要求 国・地元協議


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
那覇軍港移設予定地の浦添西海岸=25日、浦添市西洲(大城直也撮影)

 那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添西海岸移設に向けて、国と県、那覇、浦添両市などが話し合う移設協議会が25日、オンラインで開催された。防衛省が3月に示し、民港部分の北側に「T字型」の軍港代替施設を設置する埋め立て形状案について、県などの各構成機関が「異存はない」と了承し、今後の協議や日米合意に向けた米軍との調整作業を進めることを確認した。移設協議会で軍港の位置や形状案が容認されたことで、今後は日米合同委員会合意に向けた手続きが進められるなど、移設と返還に向けた動きが加速するとみられる。

那覇軍港の代替施設、いつ完成?今後のスケジュールは

 協議会では、各機関の意見を踏まえ、国側が防波堤の位置や長さを修正する案を出した。

 県側は(1)環境保全に最大限配慮すること(2)約49ヘクタールの埋め立て面積を検証し可能な限り縮小すること(3)現在の那覇港湾施設や代替施設でオスプレイなど航空機の離着陸や訓練を行わないこと(4)米軍艦艇の恒常的な展開、空母や原潜の運用など米軍基地機能を強化しないこと―を求めた。

 防衛省は代替施設の面積については当初の計画よりも「努力して縮小した」とし、現在の那覇軍港の機能を維持するためにも、計画通りの面積が必要だとの認識を示した。オスプレイなど航空機訓練は「先日行われたような訓練はあくまで那覇港湾の使用主目的に沿ったものだ」と説明した。代替施設で空母や原潜を運用する計画があるとは「聞いていない」と答えた。

 協議会後に、取材に応じた嘉数登知事公室長は「基地負担の増加につながることはあってはならない」と強調。「現有機能の維持」から外れる場合は協議していく考えを示した。(池田哲平、明真南斗)


【関連記事】

▼【記者解説】県の「T字型」容認は規定路線 県議会与党に反対意見も

▼【写真】「極めて健全なサンゴ礁」埋め立て可能性の浦添市西海岸

▼【パルコ前の海岸で撮影】沖縄にもあった!ウユニ塩湖のような風景

▼那覇軍港移設、23年度以降に作業本格化 返還は最短で30年代末の見込み

▼「県民の思いないがしろ」知事、オスプレイの那覇軍港着陸でコメント