のぼりや製菓が「還暦」、11月で創業60年 沖縄で初のバターケーキからスタート 與座社長「両親の思い継承」 沖縄市


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創業60年を迎える沖縄市上地の「のぼりや製菓」の與座美香社長(前列左端)とスタッフ=5日、沖縄市上地の同店

 【沖縄】沖縄市の中の町バス停前にある老舗製菓店「のぼりや製菓」が11月3日で創業から「還暦」の60年を迎える。創業者の登弘道さん(故人)が米軍基地のベーカリーで務めた経験を生かし、県内初のバターケーキを販売したことからスタートした同店。現在は長女の與座美香さん(60)が社長を務める。

 弘道さんが28歳、妻マツさん(故人)が25歳の時の、2人での船出だった。基地の門前街として栄えたコザで、菓子の販売も右肩上がりに伸びた。1990年代には7店舗に80人の従業員がいた。

 勤め人だった與座さんが店を手伝うことになったのは2003年。「動き回るのが性に合っている」という美香さんは、接客、レジ会計、商品の補充、清掃、電話対応、配達などさまざまな仕事をこなしながら体で経営を覚えた。2015年に社長に就任した。

 「この7年間は必死だった」と振り返る與座さん。「コロナウイルス感染症の緊急事態と清明シーズンがかち合ってキャンセルも相次いだ。それを医療従事者に届けると後日、お礼の言葉があり、苦労と喜びを同時に感じた」と話した。「両親の思いを継承して地域とのつながりを大切にしたい」と今後を見据えた。

 1~3日を創業60周年キャンぺーンとして来店者に記念品を進呈する。
 (山川宗司通信員)

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