【北部】国が指定する特定外来生物で強い毒を有するヘビ「タイワンハブ」を捕獲するための新たなわなの開発が進んでいる。従来型のわなは、誘い込むための餌に生きたネズミを使っていたが、新型は電動ルアーを餌に用いる。カメラと通信装置も取り付け、捕獲を遠隔で確認し、AIでタイワンハブかどうか判別するという最新の情報通信技術(IoT)が活用されている。これまで課題になっていた定期点検の負担軽減などが期待されている。
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新型わなは沖縄美ら島財団、ビーンズラボ、NTTドコモ九州支社が共同開発に取り組んでおり、23日までに発表した。3者は6月から本部町と名護市に計11基を設置し、実証実験を開始した。9月27日に1匹が捕獲された。
生態系への影響が懸念されるタイワンハブは本部半島中心に周辺で捕獲数が増加。県保健医療部衛生薬務課のまとめによると、2011年841匹だったのに対して21年3921匹と約4・7倍となっており、県、市町村がわなを仕掛けて防除に取り組んでいる。
従来型はハブを誘い込む餌に生きたネズミを使っているが、ネズミの確保と飼育、ハブの捕獲確認など定期点検が欠かせない。
財団の岡慎一郎さんが中心となって、目や耳が弱いハブの特性を踏まえ、におい物質や熱、振動を出すルアーの開発を進めた。「まだ1匹しか捕まっていない」と実用化に向け、今も試行錯誤真っ最中だ。「タイワンハブの防除には捕獲器を大量投入する必要がある。巡回や点検のコストが軽減されれば、たくさん設置できる」と語った。
県環境部自然保護課は「タイワンハブの効果的な捕獲手法を探っている。わなの点検など作業負担を軽減できる利点は大きい」と新型わな開発の行方に注目。その上で「誘い込む餌にネズミを使う従来型と比べて捕獲効率がどれくらいになるのか、実証実験の結果を見て、専門家の意見も聞きつつ県の事業に取り入れられないかを検討していきたい」とした。
(長嶺晃太朗、安里周悟)
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