【記者解説】沖縄電力の料金値上げ申請、上げ幅は全国最大 化石燃料依存が重く


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沖縄電力の送電線と作業員

 沖縄電力が、大半の家庭が契約する規制料金を2023年4月から39.3%値上げする方向で経済産業省に申請した。値上げ幅は既に申請を済ませた県外電力大手より大きく、政府が年明けから導入する負担軽減策の抑制分(2割程度)を上回る。企業向けを含め、認可が不要な自由料金も多くが値上げ対象となる。家計や企業活動に重い負担がのしかかる。

 沖電は値上げ申請に伴って、役員・社員給与水準の引き下げや燃料の調達方法見直しなどの経営効率化で、年間136億円の費用を圧縮する計画も発表した。だが、08年の前回改定時に比べ、石炭価格が4.6倍、原油価格が1.2倍に上昇するなど燃料価格の高騰が経営を圧迫。発電に必要な原価は年平均で2305億円に上り、08年に比べ900億円増加する試算となった。

 経営効率化の努力だけでは燃料関連コストの上昇分を吸収しきれず、不足分を補うため大幅の値上げ申請に至った形だ。

 一方、沖縄電力を含む国内大手6電力が規制料金の値上げ方針を表明する中、値上げ後の標準家庭のモデルとして提示した月額1万2320円という料金は、28日までに経産省に値上げを申請した4社のうちで沖電が最も高い。標準家庭の値上げ幅は東北電力の31.72%、中国電力の29.88%、四国電力の27.9%に対し、沖縄電力は39.3%と突出する。

 他より大きい値上げ幅は、価格が高騰する化石燃料に電源構成のほとんどを頼らざるを得ない事情による。申請に際して原子力発電所の再稼働を織り込み、値上げ幅を抑えた電力会社がある一方で、沖電には原子力や水力といった化石燃料以外の電源がない。

 沖電の本永浩之社長は記者会見で「化石燃料の比率が本土に比べると大きい」と説明し、理解を求めた。

 過去の事例から、国の審査の過程で値上げ幅が圧縮される可能性もある。ただ、見直しが進められている託送料金の変動分は今回の値上げには含まれていない。このため、今後、託送料金が新たな値上げ要因に加わる局面も想定される。
 (當山幸都)


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