prime

神々の國の首都から 星明彦・沖縄総合事務局運輸部長<仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 先週、山陰に入り、地域戦略の立案支援と世界的ディスティネーション化に向けた機運醸成を手伝ってきた。

 出雲の國(くに)は、その神話が現在でも地域の生活様式やその風景に色濃く影響を持つ。小泉八雲は「神々の國の首都」として、精神性の高さと美しさを愛し、世界的な価値として伝えた。沖縄のやちむんの絵柄や釉の色が、出雲のそれとなぜ似ているのか。今回、出雲の名窯に、金城次郎氏の作品やシーサーを見た。沖縄の伝統文化に影響を与えたバーナード・リーチや柳宗悦が、各地に色濃く影響を残し、それらを繋ぎ、文化と誇りを紡いでくれていた。

 小泉八雲は「先祖神は海の向こうにいて、全ての命(八百万(やおよろず)の神)と繋がり、守り生かされている」という。その精神性が沖縄のそれと似て、親しみを感じるのはなぜだろう。どうしてこれらは繋がり、今に残されたのか。我々に残されたもの、メッセージは何か。

 私は、歴史や文化の専門家ではない。しかし、グローバル経済、大量生産・消費経済が蔓延(まんえん)した日本、そして沖縄において、本当の日本、日本の起源を残すところはわずかばかりになったように思う。祖先や家族から愛情を引き継いだ我々は、未来に何を残すのか。

 今回、復帰っ子の一人としてこの連載コラムの機会を頂いた。これからの50年、沖縄に引き継がれた世界的価値と心の豊かさを誇り、世界で美しく咲く沖縄を、仲間と、そして世界と楽しく語っていければと思う。