【本部】沖縄美ら島財団や小笠原ホエールウォッチング協会(東京都小笠原村)など6団体はこのほど、国内の4海域(沖縄、小笠原、奄美、北海道)でザトウクジラ3532頭分の尾びれを撮影して照合した結果、海域を同一の集団が来遊していることを突き止めた。海洋生物の回遊経路には不明な点が多く、3500頭もの個体識別により集団の構造や移動ルートが解明されたことに、同財団は「絶滅危惧集団とされている日本国内のザトウクジラの保全に向け大変重要な発見だ」としている。
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同財団が9日、発表した。北太平洋のザトウクジラは、夏にロシアやアラスカなど高緯度海域で餌を食べ、冬に沖縄やフィリピンなど低緯度海域で繁殖や子育てをする。今回の地道な個体識別で、これらの移動を裏付けた。
集団の中には、太平洋側をより利用するグループと、沖縄を含む東シナ海側を多く利用するグループの二つの小グループが存在している可能性もあるという。
美ら島財団は1991年から約30年間、一頭一頭異なる尾びれの特徴によって個体を識別してきた。今回の研究は、オンライン学術誌「PLOS ONE」に掲載された。(松堂秀樹)
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