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好きこそものの上手なれ 玉寄智恵子・琉球WILL代表社員 <仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 高校生の息子によく言う言葉がある。「好きなことを見つけなさい。いつかそれが、仕事になるから」と。私が息子にそう伝えるのは、自分の経験からもあるが、きっかけがあった。

 小学校5年生の頃に、担任の先生から「好きこそものの上手なれ」と書かれた自筆の栞(しおり)をいただいた。クラスの子たちに向けた先生からの進級祝いだったと思うが、薄いピンクの厚紙に書かれたその言葉は、私に小さな感動を与え、その後の私の好きな言葉になった。分かってのことなのか、息子は専門の高校に進学し、今度は好きなことが色々あって困ると悩んでいる。「何にでもなれるよ」と母はニンマリだ。

 さて、この「好きなこと」は私の仕事にも通じており、人の話を聞くこと、特に「人の仕事に対する思い」を聞くことは大好きで、応援したくなる。四苦八苦することの方が多いが、やはり好きなこと、後は上手になるだけだと日々挑んでいる。これまで勉強にしても、仕事にしても、確かに苦しい時もあったが、その中に喜びを見つけて取り組むことができたのは、この言葉のおかげかもしれない。

 この「栞」のきっかけは、私に好きな仕事の他に、「栞」作りという趣味をもたらした。

 気になる言葉を書き留めてラミネートしてしまう。本に挟むことはもちろん、手帳や机に忍ばせて、ときおり自分に活を入れたり、励ましたり、そして、新たな仕事に取り掛かるのだ。上手になろうと自分に暗示を掛けることも、時には良しである。