山に捨てられていた保護犬「シェイラ」が警察犬に 人慣れしない「手のかかる子」が楽しく訓練、成長見せる


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嘱託書を手に笑顔を見せる中原寿野さんとシェイラ=20日、沖縄市のスマイルパウズ

 沖縄県内で動物の保護活動をしているスマイルパウズ=沖縄市=に約3年前保護されたシェイラ(3歳、メス)がこのほど、嘱託警察犬の試験に合格した。保護当初は「やんちゃで手がかかった」が、保護犬から嘱託警察犬になるのは同団体では初めて。中原寿野代表は「スマイルパウズの顔として頑張ってもらいたい」と期待を寄せる。

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 姉妹2匹とシェイラは生後3カ月ごろに本部町の山に捨てられた。保護時は人慣れしておらずおびえていた。徐々に慣れるもシェイラはやんちゃな性格で遊びたいあまり成犬にも体の小さい犬にもかみついていた。姉妹の2匹は先に引き取り先が見つかった。「シェイラはトレーニングしないと譲渡会に出せない」と判断、かみつき・飛びつき癖を直す訓練を始めた。「手のかかる子だった」と中原さんは振り返る。

 訓練はおもちゃやおかしを使って行う。「楽しいの延長線」になるよう意識した。触れ合いも好きになり、他の犬の面倒を見るまでに成長した。楽しそうに訓練する様子を見てセラピー犬の資格に挑戦し、結果は見事一発合格だった。次に受けたのが嘱託警察犬。セラピー犬とは異なり物の匂いを嗅ぎ分ける訓練などがあった。人好きになったシェイラは褒めてもらいたい気持ちが先行して集中できないこともあった。約1年訓練を続けて切り替えができるようになった。

 試験は11月にあった。やり直しがきかない一発勝負の試験だったが完璧にこなして合格した。中原さんは緊張していたが「信じていた」と喜んだ。2023年1月から犯罪捜査や大規模警備の応援を依頼された場合に出動することになる。

 次に見据えるのは災害救助犬。すでに訓練を開始し、異常を見つけてほえる「アラート」ができるようになった。狭き門への挑戦が始まったが「スマイルパウズの顔として、保護犬代表として頑張っている」と中原さん。シェイラはこれからも成長を続ける。 (金盛文香)


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