【深掘り】小野寺元防衛相との辺野古関連業者の関係に妥当性は 財団設立の業者は過去に埋め立て環境監視委を運営


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小野寺五典元防衛相が評議員を務めている「公益財団法人いであ環境・文化財団」が入居するビル。辺野古関連事業を請け負う「いであ」の看板も据えられている=16日、東京都世田谷区

 小野寺五典元防衛相が辺野古新基地建設の関連事業を請け負う業者が設立した公益財団法人「いであ環境・文化財団」の評議員を務めていることが明らかになった。業者は、辺野古埋め立て工事に絡む環境監視等委員会の運営業務を担っていた2015年10月以降、委員への資金提供などが発覚して業務から外された経緯がある。辺野古新基地建設工事を巡り、公共事業の受注業者と防衛政策に影響力のある政治家との接点が明るみに出たことは、議論を呼びそうだ。

 【独自】小野寺元防衛相、辺野古関連業者が設立した財団の評議員に 報酬、報告書に記載なし

 財団の担当者によると、財団はNPO法人「地球環境カレッジ」の後継団体として発足したという。同NPO法人は2008年から理事として、辺野古の新基地建設事業の環境保全策などを指導、助言するために沖縄防衛局が13年度に設置した「環境監視等委員会」の委員を起用し、年間200~300万円の報酬を支払っていた。

 委員会の運営業務は、財団とその前身であるNPO法人を設立した「いであ」が担っており、「委員会の中立性に疑義が生じた」などとして批判を浴びた。当時の菅義偉官房長官も、「国民から見て疑念を抱かれるような対応は、政府としてするべきではない」として防衛省に対策を促し、15年10月以降に「いであ」は運営業務から外されている。また、公開されている財団の定款には設立者が「いであ」と明記されており、代表理事には同社の会長が就いている。

 小野寺氏の評議員就任の経緯について、財団側は「大学で教鞭をとることを含め幅広い経験をお持ちの小野寺議員に就任の依頼をしたところ、了解を得た」、小野寺氏側は「設立の目的に賛同しお受けした」とそれぞれ文書で回答。あくまで両者の結びつきは、財団の活動を通じた接点のみという主張だ。

 しかし、小野寺氏は、普天間飛行場移設に伴う辺野古新基地建設を推進する政策を貫いた安倍政権で防衛相を務め、大臣退任後も、自民党内で安保関連3文書の改定に関わるなど、防衛政策で重要な立場にある。

 本紙は、小野寺氏側に辺野古関連事業を受注する企業との関係が深い財団の評議員を務めることの妥当性を問うたが、「ご指摘は当たらない」と答えるだけだった。
 (安里洋輔)

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