
「第32軍司令部壕の保存・公開を求める会」は6日、自衛隊駐屯地の地下化などについて「われわれが求める『平和への道』とは全く異なる」とし、「沖縄を再び戦場にすることに断固、反対する」声明を発表した。
声明では、沖縄戦を指揮した日本軍第32軍の拠点となった首里城地下の第32軍司令部壕は「負の遺産」と指摘。会として保存・公開を訴えているのは「平和発信のとりでにするためである」との立場を改めて強調した。
6日、県庁記者クラブの会見には代表の戦争体験者らが顔をそろえた。瀬名波栄喜会長(94)は、沖縄戦の前年に満州から日本軍が移駐してきた体験を振り返り、「自衛隊がどんどん入り込む今の状況と全く同じだ」と危機感を示した。
高山朝光副会長(87)は沖縄戦の教訓が語り継がれてきた沖縄と全国は異なる認識だと指摘。「『台湾有事』に県民はものすごく不安を持っているが、地上戦を体験していない沖縄以外では机上の空論になっている」と述べ、沖縄の声を全国に広げると同時に、政治家や経済界が米中を訪問し「台湾有事」の回避を交渉で止めるべきだと訴えた。
日本政府は、南西諸島の防衛強化の一環で重要施設の地下化を掲げ、駐屯地の石垣や与那国、自衛隊那覇病院などで地下化を進める。会がこうした動きを支援していると誤解もあることから声明の発出に至った。
会見には垣花豊順副会長、慶佐次興和理事、前城直美事務局次長、下郡みず恵さんも同席した。
(中村万里子)
【声明全文】32軍壕保存求める会「沖縄を再び戦場にすることに断固、反対する」