12日に那覇市内で開かれた、対話によって「台湾有事」の回避を目指すシンポジウム(「台湾有事」を起こさせない・沖縄対話プロジェクト主催)。登壇者らは台湾海峡を巡る現状を知ることや、対話による問題解決の必要性を説いた。稲嶺恵一元知事の基調講演と、安全保障に詳しい台湾の研究者2氏の発言の要旨を紹介する。
▼「台湾有事」回避へ対話を 沖縄・那覇でシンポジウム 台湾の識者が語る有事への見方
安倍晋三元首相は「台湾有事は日本有事」だと言ったが、台湾有事とは何だろうか。日本が台湾独立を(外交で)支持することにはつながらない。台湾海峡の現状維持が日米にとって最高の選択肢だ。
冷戦時代に対立した各陣営は、グローバル化をへて経済的に相互依存する関係になった。特に日中の経済関係は緊密だ。
日本は米中競争を踏まえながら中国との経済関係を引き続き維持する道を探している。
日本の世論調査で79%の日本人は中国に親近感を覚えていない。一方で若者の9割が日中関係の発展は重要だと答え世代間で認識のずれがある。
台湾の世論調査では、回答者の43.1%が台湾海峡で戦争が発生すれば、日本が派兵して台湾防衛に協力すると答えた。これは米国が参戦すると答えた比率の34.5%を上回る。
これは日台友好の社会的な空気感によるものだと思うが、台湾人は現実を踏まえていない。
日本が兵力を動員するには法的根拠がなく、複雑な国際政治と法律の関係も理解されていない。
米中の複雑な競争の中で戦後70年以上続く平和を維持することは、中国、日本、沖縄、台湾の人々の共通の任務だ。
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