12日に那覇市内で開かれた、対話によって「台湾有事」の回避を目指すシンポジウム(「台湾有事」を起こさせない・沖縄対話プロジェクト主催)。登壇者らは台湾海峡を巡る現状を知ることや、対話による問題解決の必要性を説いた。稲嶺恵一元知事の基調講演と、安全保障に詳しい台湾の研究者2氏の発言の要旨を紹介する。
私は知事時代、福建省の省長だった習近平主席と面談した。習氏は寡黙でめったに笑うことはなかった。習氏の父は副首相も務める人物だったが、毛沢東の文化大革命で下放された。主席となった習氏は毛路線とは反対の改革開放路線を貫くと思っていたが、予想は全く違った。
はっきり言って今、「有事」の危険性はないと考える。ただ危険性がないと断言はできず、常に難しい状況を引きずることになる。備えがあれば無駄になることはない。
中国は孫子の兵法を用いて戦わずして勝つ戦略を取る。一番大事なのは外交だ。日中は戦後27年間、政府間での対話はなかった。その時に大きな力となったのは民間外交だ。一方、海上保安庁は尖閣諸島周辺で中国公船の接近に対して、365日毎日静かに警備を続けている。この姿勢を大いに参考にしたい。
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