12日に那覇市内で開かれた、対話によって「台湾有事」の回避を目指すシンポジウム(「台湾有事」を起こさせない・沖縄対話プロジェクト主催)。登壇者らは台湾海峡を巡る現状を知ることや、対話による問題解決の必要性を説いた。稲嶺恵一元知事の基調講演と、安全保障に詳しい台湾の研究者2氏の発言の要旨を紹介する。
台湾海峡有事の可能性は高いと言える。中国経済は飛躍的に向上し、軍事力も拡大している。台湾と中国の軍事費は10倍以上の差がある。覇権主義をしない国ならば、これほどまでに軍事費をつぎ込み地域を不安定にする必要はないだろう。軍備増強は一つの象徴だ。
中国は一国二制度による台湾の平和統一を最高指導原則に明文化している。平和的解決方法とするが、香港の事例を見ると台湾には受け入れられない。
ただ台湾内部にも矛盾がある。「平和主義者」は両岸(中台)の軍事力はアンバランスで武力侵攻が起きたら台湾は勝てないため、中国との交渉を主張する。一方、「愛国主義者」は台湾は中国にのみ込まれてしまうので積極的に守る必要があると主張する。双方とも台湾の安全保障の潜在的脅威だ。中国は武力侵攻よりも(台湾世論の分断を図る)「認知戦」を仕掛ける方が簡単だろう。
北京は台北が独立しない限りは武力攻撃しないとされるが、最高指導原則からするとそうとは限らない。台湾は戦争は望んでいない。東アジアには東南アジア諸国連合(ASEAN)のような組織がない。いつかそういった組織ができたら紛争はなくなるのではないか。
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