【動画】夜のセンサー~エビ・カニ・ヤドカリの感覚器~ <沖縄・海の生き物たち Vol. 61>


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敵が来るのもえさも…決め手はにおい!

私たちが周りの様子を理解したり感じたりするには、目や耳や鼻といった感覚器を使います。では、海の生き物たちはどうやって周りの様子を感じているでしょうか?

エビの顔に、長いヒゲがピンっと伸びているのはご存知ですね。触角です。エビだけでなく、カニもヤドカリも、甲殻類はみんな触角を持っています。

エビの長い触角は、第1触角と第2触角の2種類。ふつう左右に1対ずつあって、第2触角の方が長いです。ただし、オトヒメエビは特に第1触角が根元で枝分かれして長く伸び、ひげがたくさんあるように見えます。ヤドカリの顔から2本長く伸びているのは、第2触角。これらはタッチセンサーで、周りに触れて何があるのかを探るものですね。カニの第2触角はとても短いけれど、大きなハサミがあるから怖くないのかな。

では、カニやヤドカリの第1触角はというと、顔の真ん中で小刻みに震える小さなものです。先っちょはふさっと毛が生えていて、表面積が広くなっています。これ、実は水中の匂いを感じ取るための嗅覚センサーです。水中では、遠くの景色はよく見えないけれど、匂いはかなりの距離まで届きます。オスがメスを探したり、敵が来ることやエサの匂いを感じたり。ひっきりなしに震えることで小さな水流を起こし、いろいろな匂いをキャッチしようとしているのかな。

水の中でどんな風に周りの様子を感じ取っているのか、生き物たちのしぐさから想像するのも楽しいですよ。

Vol. 61 カブトヤドカリ

Dardanus deformis

● 目:十脚目 Decapoda

● 科:ヤドカリ科 Diogenidae

● 属:ヤドカリ属 Dardanus

動画撮影: 

 オオマルモンダコ、カブトヤドカリ、ツマジロサンゴヤドカリ、クリイロサンゴヤドカリ 2023年1月5日(浦添市 西海岸てぃだ結の浜)

 オオメテナガヒメガザミ、オトヒメエビ 2023年1月8日(恩納村 真栄田岬)

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒、福井県立大大学院修了、東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。沖縄の海辺を考える「里浜22」や、温暖化対策に取り組む「ゼロエミッションラボ沖縄」でも活動中。

 

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