学級の人数増「限定的に」沖縄県の半嶺教育長が言及 担任未配置の回避へ「40人学級」可能性


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沖縄県庁(資料写真)

 2023年度の公立小中学校の学級編成について、沖縄県の半嶺満県教育長は17日、一部で1学級当たりの児童生徒数を増やす可能性があることを認めた。県はきめ細やかな指導を目的に、国の基準より少ない学級編成を実施している。教員不足を背景に、複数の学校現場では新年度から35人学級を40人にする可能性があることなどが既に伝えられていた。

▼教員不足で「40人学級」の可能性も 沖縄の公立小中、県教委「決まってない」

 現場で学級の人数増の説明があることについて、県教委はこれまで本紙取材に未定としていた。

 半嶺教育長は、山内末子県議が独自に実施した教職員の働き方調査について説明を受けた場で言及。「4月までしっかり教員を確保し、少人数学級を進める方向性は変わらない」と、現行の学級編成を維持して人事配置作業を進めると強調。その上で「万が一、担任がいないままスタートする状況があったときには、それだけは避けたいという意味で、限定的にクラス配置を少し変え、担任の未配置がないようにしたい」と説明した。

 半嶺教育長の発言について県教委担当者は取材に「まだ決まっていない」と回答。17日は新年度配置を含めた教員人事の内示日だったが、どのような方針で内示されたかは不明。2022年10月時点以降の教員不足数の最新の数値についても県教委は本紙の質問に回答がない。

 教員からは実際の正式な配置決定が「4月直前になるのでは」と不安がる声が上がっている。

 40人編成の可能性を管理職から聞いた小学校教員の女性=40代=は「(1学級の人数を)早く決めてほしい。どんな結論でも従うしかないが、負担を押し付けられるばかりで腹が立つ」と憤りを隠さない。小学校教員(37)は「内示日までに決定できないということは、かなりの数が不足しているんだろう。覚悟しておくしかない」と話した。

 県は現在、小1・小2で30人、小3~中3で35人を上限としている。国の基準は小1~小4・中1が35人、それ以外は40人となっている。

(嘉数陽、吉田早希)

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