産経新聞社に記事削除と賠償命令 元宮古島市議を巡る記事、名誉毀損認定 東京地裁「真実相当性認められない」 


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 【東京】元宮古島市議の石嶺香織さんが、産経新聞の記事で名誉を傷つけられたとして、産経新聞社(東京)に220万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決で、東京地裁(古庄研裁判長)は28日、名誉毀損を認め、同社にインターネットのウェブサイトに投稿された記事の削除と11万円の支払いを命じた。

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 古庄裁判長は、記事の内容について「真実と信ずるについて相当の理由があるとは認められない」と指摘。「原告が被った社会的評価の低下及び精神的苦痛の程度は大きい」と判示した。

 訴状などによると、2020年9月に提訴。17年3月、同社がネット上に公開した「自衛隊差別発言の石嶺香織・宮古島市議、当選後に月収制限超える県営団地に入居」と題した記事で、記事内容の「真実相当性」と、記事によって原告の石嶺さんが受けた「社会的評価の低下」の有無などが争われた。

 判決では被告側の取材が、石嶺さんや宮古島市議会など各所への「基本的な取材事項の取材を欠いた不十分なもの」と指摘した。記事の「重要な部分」について真実相当性に欠けるとした。

 記事公開直後、ネット記事の閲覧数を示すページビュー(PV)が「4万件を超えた」として高い関心を集めた点や、現在も閲覧できる状態である点も踏まえ、「原告の精神的苦痛が継続的に発生し得る」とした。

 判決後の取材に石嶺さんは「削除命令が出たことで記事がデマだったことが証明されほっとしている」と述べた。石嶺さんの代理人弁護士によると、判決の一部に不満があるとして控訴を検討しているという。

 産経新聞社広報部は、判決について「判決内容を精査し、今後の対応を検討します」と文書でコメントした。

(安里洋輔)

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