沖縄の中小企業に新卒採用は向いてない?地元専門の採用コンサルタントがオススメしない理由<お仕事相談デスク>


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

今回のお悩み

沖縄県内の20人規模の中小企業です。

若手の人材不足に悩んでおり、新卒採用を始めようと思っています。

沖縄での新卒採用に関して、注意すべきポイントがあったら教えてください。

 

今回の回答者は…

採用のことならお任せ

ファンシップ代表取締役で採用コンサルタントの

小宮仁至さんです。

 

3月1日から会社説明会が解禁され、県内各地で「合同企業説明会」、いわゆる「合説」が始まりました。コロナ禍での「オンライン就活」という混乱を経て、今年はようやく対面での合説が再開し、企業側も学生側も、これまで以上に力が入っていることでしょう。

 

さて、今回のご相談は、これまで新卒の採用戦線に参加したことがない沖縄の中小企業からのご相談です。

今までは中途採用や縁故採用で何とかやってきたけど、社員の年齢構成比を見てみればここで20代を採用しないと、あと10年後には会社がなくなってしまう…。

仕事はあるのに、若手がいない。たまたま入った若手もすぐに音を上げて辞めてしまう…。

 

とまぁこんな感じで、不慣れな新卒採用戦線に乗り出す沖縄の中小企業が、増えています。

 

新卒採用とは有名大手企業と比べられる場所です

例えば、新卒採用戦線の登竜門「合同企業説明会」では、毎年試行錯誤をしながら練り上げたプレゼンやディスプレイを披露する名だたる有名企業や、担当者のノウハウや知見が積み重なっている企業とブースを並べることになります。

恋愛に例えると、合コン慣れした人がお洒落な格好をして、軽快なトークを繰り広げている場所に「今日初めて合コンに来ました…」という人が、普段着で乗り込むようなものです。

「うちの会社はこれまで、経験者しか採用してこなかった。それなのに、今年から未経験の新人でも採用してやるって言っているんだから、若い子を何人かは採用できるだろう…」

なんて甘い思惑は、ことごとく打ちのめされることでしょう。

ただただ、隣のブースの行列を1日中見せつけられて、自信喪失、茫然自失で帰社の途につく…。

そんな中小企業さんの話をこれまで何回も聞いてきました。

 

若手=新卒ではない

落ち着いて考えてみてください。

中小企業である御社に必要なのは「新卒」ですか?

20代の定着してくれる「若手」が必要なのではないですか?

合同企業説明会、新聞報道、ネットニュースから垣間見える若者は、大手有名企業や華やかな職種にばかり集まって、自分たちのような地味な中小企業になんか目もくれないんだ…。と勝手にそう思い込んでいませんか?

ちなみに、景気や年代に関係なく大卒新卒者の3年以内の離職率は3割。高卒者だと4割だと言われています。沖縄県内だと大卒新卒者は4割、高卒者は5割と、全国平均より10%高い状態が続いています。

【関連記事】なぜ沖縄は3年以内の離職率が高いのか?

逆に言えば、新卒で入社した若者が常に次の職場を探している状態、と考えることはできませんか? 20歳〜25歳の若者で、ひと通り社会を経験し、自分の考えや意見ができ始めている若手が今、この時も、沖縄に存在しているのです。

ですが、その若手たちは新卒ではないので新卒用の合同企業説明会には行きません。職を探すタイミングや事情もバラバラなので、どこかに集まっていることもありません。あらゆるデータに現れにくいので、企業側からすると見えにくい存在になっていますが、確実に存在しています。

あなたの身近な人たちを思い浮かべてください。

「自分に向いているいい職場はないかな…」と、とりあえずのアルバイトなどをしながら、就・転職活動中の若者に出会ったことはありませんか?

 

沖縄の中小企業が新卒採用に乗り出すときに注意してほしいポイント

沖縄の中小企業が新卒採用に乗り出すときに注意してほしいポイントをまとめます。

①そもそも本当に必要なのは「新卒」なのかもう一度検討する

②新卒採用戦線は中途採用よりもライバルが強力で時間もお金も労力もかかること知る

③一度就活に失敗したと思っている若手は中小企業と相性がいい

そもそも新卒採用という仕組み自体が、毎年何十人と優秀な若手を採用したい、という大企業が効率よく採用活動を行うために生まれたものです。

「今年若手を2人、採用できたらいい」「いい若手がいたらなら、採用したい」「会社が明るくなるような新人なら3人採用したい」

というような規模での採用をしたい中小企業に向いている仕組みではありません。

「若手を採用したい」という目的に対して、新卒採用戦線に飛び込むというのは手段の1つでしかありません。

 

沖縄には、中小企業だからこそ輝く人材もたくさんいることを、採用コンサルタントの現場で毎日見ています。

ぜひみなさんの会社にも、この春、元気な若者が入社しますように!

◇執筆者プロフィル

小宮 仁至(こみや ひとし) ファンシップ株式会社 代表取締役

広告会社やWEBマーケティング会社を経て、2015年にファンシップ(株)を創業。2016年より「レンアイ型Ⓡ採用メソッド」を提唱し、企業へのセミナーや求職者への採用支援を実施している。
1979年生まれ 熊本県出身。うちな〜婿で2児の父。