県差別のない社会づくり条例が30日、県議会で可決されたことに対し、ヘイトスピーチ規制を求める条例の制定を求め続けてきた市民有志「沖縄カウンターズ」のメンバーは「ほっとした」と喜んだ。一方で条例には罰則規定がないなど実効性に疑問の声も出ている。メンバーは実効性を高めるよう求めている。
沖縄カウンターズは2020年5月、那覇市役所前での中国人差別のヘイトスピーチ街宣に抗議するためにカウンター(阻止活動)を開始した。毎週水曜日に「NO Place FOR HATE」と書かれた旗を手に立つ活動は23年の3月29日で150週を数え、街宣は次第に沈静化してきた。
カウンターズは規制条例の制定を目指し、県議会へも働き掛けてきた。20年には県議会6月定例会に規制条例制定を求める陳情を提出。与野党の県議と面談を重ね、繰り返し条例制定を求めてきた。
同時に、インターネット上に書き込まれた沖縄を対象とした数々の誹謗(ひぼう)中傷の事例を展示する企画展を開くなど、「沖縄ヘイト」の実態を市民へ周知する活動も続けてきた。
審議を見守ったメンバーの40代の女性=那覇市=は「ほっとしたが採決は全会一致であるべきだった。条例は100点ではなく、実効性のあるものにしていかないといけない。県や民間は県民に、差別とは何かを周知していくべきだ」と語った。また野党会派議員の討論について「突拍子もないことを言っており勉強不足だ」と批判した。
別のメンバーの女性は「差別はあると受け止めてもらえなければ、条例ができても施策はうまくいかない。条例ができて終わりではない。足りないところがあれば声を上げていきたい」と差別解消に向けて力を込めた。
(西銘研志郎)