沖縄県議会(赤嶺昇議長)の2月定例会は30日、最終本会議を開き、公共の場やインターネット上での差別的言動(ヘイトスピーチ)の解消を図る「県差別のない社会づくり条例」を賛成多数(賛成29、反対18)で可決した。差別的言動を巡る県条例としては初の制定。同条例を巡っては罰則の有無が議論されてきたが、県は「過度な規制になる」として設けていない。
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玉城デニー知事は同日の記者会見で「差別のない社会をつくるための啓発を一生懸命していきたい」と述べた。
条例では本邦外出身者(外国人)への差別的言動には有識者による審議会を経て事案の概要や発言者氏名などを公表するが、女性力・平和推進課によると「懲罰目的ではなく啓発活動の一環」という。県民であることを理由とした差別的言動には「解消に向けた施策を講ずる」と明記しているが、事案を公表する措置は設けていない。
県は31日にも県ホームページで、県への申し出様式などをまとめた同条例規則を公表する。県は今後、審議会を設立するほか、専門相談員1人を配置する予定だ。
(嘉陽拓也)
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