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教員未配置ゼロへ、「学校カフェ」で連携探る 共に考え環境改善の声、大きな波に <先生の心が折れたとき>第3部(5)千葉の「県民の会」(下)


教員未配置ゼロへ、「学校カフェ」で連携探る 共に考え環境改善の声、大きな波に <先生の心が折れたとき>第3部(5)千葉の「県民の会」(下)
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉数 陽
休日に各地から集まり、今後の活動方法などについて話し合う「教員未配置を考える県民の会」メンバー=3月11日、千葉県船橋市

 2022年7月に「教員未配置を考える県民の会」を発足し、教職員、保護者、地域住民の立場を超え、同じ県民として一緒に考える環境づくりに成功した千葉県。教員未配置の改善措置を県に求める署名活動を始めると、7カ月で3万筆以上集まった。

 23年度の小学校教員採用試験では、事前に示された募集人数は前年比20人減だったにも関わらず合格者は前年比136人増の914人となった。「県民の会」の動きは県教育委員会も無視できない存在となりつつある。

 県民の会共同代表の寺田勝弘さん(61)は「大切なのはこれからだ。どうすればもっと多くの人たちにこの問題を自分事として考えてもらえるか、集まった声をどう県や国に伝え、改善につなげられるのか。課題は多い」と話す。

 学校カフェ

 「カフェに集まってみんなで雑談をするような雰囲気で、学校での悩み事、困り感を共有できる場所をつくりたい」。教職員や保護者が立場を超えて話し合える「学校カフェ」を、船橋市ではこれまでに4回開催した。

 1回目は公民館で開催した。教員と保護者が6割、4割は地域住民だった。手応えを感じたが「教職員以外ゼロだった時もある」と、開催に携わった同市小学校教員の浅野涼平さん(39)は苦笑いする。

 子どもも一緒に参加できる工作イベントを同時開催するなど、工夫を凝らす。浅野さんは「教職員と保護者、地域住民が、学校で起こっていることを雑談レベルで話し、こうしてみたらと言い合える雰囲気が、日常の中にあるようにしたい」と期待する。

 人事評価

 管理職が評価し、給与に影響する「教職員人事評価システム」は、沖縄と同様に千葉でも導入している。評価への影響を懸念して「表立って意見しづらい」という声もある。一方、教職員の環境改善に向けた活動を続ける教職員は「学校をよくするために必要なこと」と、積極的に意見を述べる。

 船橋市の小学校教員、小山田浩之さん(47)は「仮に昇任や昇給に影響があったとしても定昇はある。声を上げないと現状を変えることはできない」と言い切る。

 県民の会事務局長の中川晃さん(51)も「各地で生まれた波をつなげて、大きな波にしたい。県民の会も他県の動きと連動して国に声を届けたい」。未配置ゼロを目指す取り組みは始まったばかりだ。

(嘉数陽)