「浜千鳥」MVが米映画祭作品に選出 ハワイの沖縄県系4世 離れた故郷への思い、歌詞に込め


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浜千鳥を歌うハワイの県系4世のブランドン・イングさん(YouTubeより)

 ハワイの県系4世で、音楽を通してのウチナーグチの継承活動を行うブランドン・イングさんらが制作したミュージックビデオ(MV)「chijuyaa(浜千鳥)」がこのほど、米国のロサンゼルス・アジア太平洋映画祭の上映作品に選出された。沖縄民謡「浜千鳥」をベースに、琉球舞踊なども取り入れた作品となっている。

 同映画祭は、南カリフォルニア最大規模で、アジアや太平洋諸島の人々による作品の上映を手掛けている。MV「chijuyaa(浜千鳥)」は5月11日に同映画祭で上映される。

 ギター、アコーディオン、オーボエという、沖縄民謡には使われない楽器による演奏や、祖先や自然への感謝を込めてブランドンさんの作った詩が話題を呼んでいる。

 制作のきっかけは、2021年のハワイ沖縄フェスティバル。ブランドンさんはこれまで、ステージで生演奏をしていたが、オンライン開催となったため、友人を集め、3人でMVを制作しようと決めた。

 楽曲として選んだ沖縄民謡「浜千鳥」には、故郷を離れた人が、遠くの故郷や家族を思う気持ちが表現されている。その歌詞がハワイに移民した人々の心境と重なるほか、コロナ禍で会いたい人に会えないつらさにも重なると考えた。歌の前には、沖縄の音楽や文化、家族などへの思いを込めた詩を加えた。たくさんの人に沖縄を知ってほしいとの思いから、詩の中にウチナーグチを織り込んだ。

 ブランドンさんは「琉球の音楽や文化の表現の幅を広げていきたい。ハワイ国際映画祭に出場するのが目標だ」と意気込む。PFAS問題をテーマにした「Miji(水)」など、ウチナーグチの曲を約20曲制作している。今後もハワイと沖縄のつながりを意識し、沖縄文化や社会問題などを歌にする予定だ。MV「chijuyaa(浜千鳥)」は、ブランドンさんの公式YouTubeでも視聴できる。
 (與那覇智早)