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AIとプライバシー保護を考える 真嘉比愛・ちゅらデータ代表取締役 <仕事の余白>


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 イタリアでChatGPT(チャット・ジーピーティー)の利用禁止措置がとられたことに端を発し、生成AIに関する規制強化の波がきています。争点の一つとなっているのはプライバシー保護の観点です。

 ChatGPTはインターネット上の膨大なデータを基に学習しているため、利用者自身のデータも使用されている可能性があり、利用者のプライバシーを侵害するような回答をしてしまう懸念があります。また、ChatGPTが個人に関し誤った回答をした際に訂正することもできません。

 日本の個人情報保護法は欧州の一般データ保護条例(GDPR)と比較し規制がゆるいため、現時点ではAIサービス提供者に対し有利に働いています。もちろん、それにあぐらをかいたプライバシー侵害が許されるわけではなく、法整備が追いついていない中でも、権利保護の観点から終了したAIサービスはあります。適切なルール設計について今後も議論が必要です。

 ChatGPTは私たちの日常を劇的に進化させる可能性を秘めた技術で、大きなビジネスチャンスが到来しています。一方で、利用者の権利を保護していくことも重要です。両者のバランスをいかにとるのか、世界に先駆けた競争力のある法整備が期待されます。

 いちAIサービス企業の立場からは、「権利侵害が起きないようAIを適切に制御できないか?」という問いに対し、技術的な方面からの解決策を提示していきたいところです。