那覇空港の制限区域内に軽ワゴン車で侵入したとして、建造物侵入容疑で自称配達業の男(38)が7日、逮捕された。容疑者は車で二つのゲートを突き破り、そのまま駐機場に入った。わずか数分で旅客機内にまで侵入を許すなど、沖縄の玄関口那覇空港の警備態勢の脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りとなった。空港関係者は「車でそのまま侵入を許すとは前代未聞。もし航空機に接触したり、滑走路に進入されたりしていれば、大惨事になりかねない」と頭を抱える。
容疑者が侵入したゲートは那覇空港ターミナルの北側に位置する。周辺道路は空港施設の関連工事のため、関係者以外の立ち入りを規制する看板が目立つ。ゲートは開閉式の金属製で、数十メートル先には同様の金属製ゲートが設置されている。当時、ゲートは鎖などで施錠されていたという。
関係者によると、容疑者はこの二つのゲートを軽ワゴン車で突き破り、約150メートル先に駐機してあった旅客機付近に車を止めた。その後、旅客機に掛かったタラップを駆け上り機内に侵入。航空機のドアは開いた状態だった。当時、旅客機では航空会社の地上職員が荷物の積み込み作業を行っていて、異変に気付いた職員が同容疑者を追い掛け、機内で取り押さえたという。
国交省航空局は「あってはならない重大な問題と受け止めている。速やかに原因を調査し、再発防止に努める」とし、保安上の観点から、事案の詳細な回答は差し控えるとしている。
現場となったゲートでは8日、真新しい鎖が掛けられ、警備員が付近に立つなど警戒する様子が確認された。空港関係者は「こんな簡単に侵入を許すとは、誰も思ってもみなかったはずだ。同様事案から大惨事を招かぬよう、警備態勢の見直しを図る必要があるのではないか」と指摘した。
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