1972年の沖縄の日本復帰に伴い社会基盤の整備が進み、集中的に建設された橋の老朽化が問題になっている。沖縄総合事務局によると、2022年10月時点で県と市町村が管理する橋のうち、老朽化や塩害などの原因で通行止めが2カ所、通行規制が18カ所存在する。建設から50年以上の橋は30年後には全体の8割近くに達する見込みだ。
20カ所の中には約20年車両通行止めの橋もあり、利用者が回り道しなければいけない場所もあるなど、県民生活に影響も出ている。
県内の建設年別の橋の数をみると、復帰前1966~70年の5年間に建設されたのは36基だった。それが復帰を挟んだ1971~75年は177基となり、復帰前の5倍近くに急増。ピークの1981~85年には369基の橋が建設され、10倍に達した。
県内で建設後50年以上経過した橋の割合は国道の場合、2022年時点で5%にとどまるが、30年後には71%まで増加する。県道・市町村道は2022年の10%から30年後に79%まで増加する見通し。
沖縄は海に囲まれた立地から空気中に飛んでくる塩の量が多いことと、高温多湿な気候が原因で「日本一過酷な塩害環境」といわれる。
建造物の一般的な耐用年数に達しない場合でも劣化が著しく、崩落などの事故につながる可能性がある。
沖縄総合事務局では「橋梁の長寿命化修繕計画」を策定し、利用者の被害の可能性や自動車の通行に与える影響の大きさといった要因に基づき、重要性の高い橋から対策を進めているという。
同局開発建設部の担当者は「国道で2日に1回の巡回と5年に1回の定期点検を行い、橋の健全性を確認している。早急に措置が必要な道路橋から優先的に予算を投じて更新や修繕をしている。市町村にも同様に取り組んでほしい」と話した。
(與那原采恵)
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