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海洋博で見た世界に向かって 阿波根昌樹・HPC沖縄代表取締役<仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「海―その望ましい未来」をテーマに1975年に開催された沖縄国際海洋博覧会から約半世紀。小学5年生の夏休み、中央ゲート近くの祖父母の家から7、8回は来場した。

 イルカに乗った少年が出迎える「三菱海洋未来館」にはひときわ夢中になった。精巧な模型で構成された館内は、海底牧場や海底都市が実にリアルに表現され、これから50年後の海の世界を「ムービングシート」で巡る旅が体験できた。今でも、その世界に魅了されたことが忘れられない。

 社会人として初めてお世話になる職場は、海洋博の旧水族館とオキちゃん劇場の構造を担った木村俊彦構造設計事務所。縁を感じ働いた。時が過ぎて、沖縄に帰って数年後には、沖縄美ら海水族館の建築工事に携わった。偶然ではなく、必然ではないかと不思議に感じる。

 なぜなら今、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとした2025年開催の大阪・関西万博のパビリオンに携わることになったのだ。脱炭素に向けた低炭素化や海洋建材としての期待もある第2世代HPC(ハイブリッドプレストレストコンクリート)を社会実装する予定である。「持続可能な社会」のソリューション、メッセージ性の強い魅力的な建材としての評価が率直にうれしい。

 少年の頃、海洋博で見た海底都市、実現には多くの壁があると思う。その壁を楽しんで越えていきたい。きっと、青い海に囲まれた沖縄だからこそ生まれるアイデアが出るはずだ。これから、ブルーオーシャンに広がる、波(不思議)に乗って、万博を迎えたい。