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AI時代に伝統的な教育は必要ない? 真嘉比愛・ちゅらデータ代表取締役<仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 先日の記事に対し「AIの進化がここまで著しいのであれば、伝統的な学校教育で得られる知識の大半はAIで代替できるのではないか?」という質問が寄せられました。確かに、現在のAIは“沖縄でサトウキビが多く栽培されているのはなぜ?”といった具体的な質問に答えることが可能で、伝統的な試験で問われてきた知識を簡単に得ることができます。

 しかし、AIがその情報を提供できるからといって、私たちがその知識を持つ必要がないわけではありません。例えば、なぜ沖縄でサトウキビ栽培が盛んなのかを理解することは、地域の一次産業の構造を理解して将来の展望を描く上で重要です。なんらかの課題解決を図るとき、新しいサービスを考えるとき、自身の中に一定の知識を蓄えた上でそれが活用できる状態である必要があります。AI自体の機能や限界を適切に理解する必要はあるでしょうが、従来の基礎的な学習がこれから先も重要であるという事実は揺るぎません。

 加えて、AIが提供する知識も取り込んだ上で、「なぜ?」や「どうやって?」といった問いを掘り下げ、自分の意見を形成し、他者と議論する能力の育成が求められています。教育現場がこれらのスキルを育む場となることを期待しています。

 AIの時代においても、人間が積極的に学び、考え、創造することの価値は揺るぎないものであるということを、心に留めておきたいところです。