土地利用規制法、経済活動の負担増に「強い反対意見」 政府の照会に沖縄県が11項目の意見出す 与那国町は「メール見落とした」


この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎
基地内への立ち入りを防ぐため民間地との境界に張り巡らされるフェンス

 防衛施設や国境離島など政府が安全保障上重要とする土地の利用状況を調査、規制する土地利用規制法の区域指定を巡り、内閣府が沖縄県と県内11市町村を対象に実施した意見照会が12日、締め切られた。県は同法が規制対象とする機能阻害行為が明確でなく、土地売買など経済活動への負担が増えるとして「極めて強い反対意見がある」と指摘。「最大限地域の実情を踏まえ対応すること」など11項目の意見を伝えた。市町村で回答したのは5市町村。与那国町は内閣府からのメールを見落としたとして、締め切りまでに回答できなかった。

 県が国に提出した意見はこのほか、区域指定する具体的な必要性を明らかにすることや、区域指定の事由がなくなった場合などは速やかに解除、または変更を行うこと、指定区域の拡大図を示すなどして区域の境界を明確にすることも求めた。

 制度の運用に当たっては、思想・信条などに関する情報を含め、その土地の利用に関連しない情報を収集しないことも求めた。

 一方、県は、国が意見照会したうち「地域の実情に関する情報」は、区域の特定につながるとして公開していない。

 市町村では、照会対象の11市町村のうち、南城市、石垣市、久米島町、竹富町、伊平屋村の5市町村が回答した。

 宮古島市、与那国町、北大東村、南大東村、多良間村は回答しなかった。粟国村は担当者不在で分からなかった。

 南城市と石垣市の担当者は琉球新報の取材に、回答の詳細は非公開と説明。南城市は「(制度への)疑問や不安は特にない。手続きに乗っ取り事務的に対応する」とした。

 前泊港や普天間港の周辺が区域指定された多良間村は「国に、建物を建てる際の規制はあるかを尋ねると『ない』と答えたので、意見は特に出さなかった」としたが「今後(建物建設などが)規制されると困る」と懸念を口にした。

 島しょ地域の自治体担当者は「売買契約で個人情報に関わるものが国に報告されることになり、不動産取引が冷え込むのではとの懸念の声もあった」とした。別の自治体担当者は「制度の中身が分からず、答えようがない」と語り、より丁寧な説明を求めた。
 (知念征尚まとめ)