【東京】在日米軍が基地内で、日本国内で使用が禁止されている高濃度のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む機器を使い続けていた問題で、西村明宏環境相は11日の閣議後会見で、2002年の日米安全保障協議委員会(2プラス2)での合意以降、一定期間行われていたPCB含有物質の米国への搬出について「承知していない」と答弁した。米軍のPCB問題についての政府の認識の甘さが浮き彫りになった格好だ。
西村氏は記者団から、高濃度PCBの問題についての認識を問われ「受け入れ国の同意のもとで、その国で活動する外国軍隊は当該国の法令を尊重する義務というものを負っている。日米地位協定にも、これを踏まえた規定が置かれている」と説明。「PCB特措法の適用についても、米軍は尊重する義務を負っている」とも述べた。
今後の対応については「関係省庁で連携をしながら米側と協議を行い、適切に対応する」と述べるにとどめた。
日本政府は米国と02年12月、在日米軍基地からのPCB汚染機器の撤去を含む環境問題への取り組み強化で合意し、これ以降、PCB含有物質の米国への搬出が行われていた。12年3月には玄葉光一郎外相(当時)が参院沖縄北方特別委員会での答弁で、09年1月から12年3月までに約29・5トンの搬出を実施したことを明らかにしていた。
しかし、西村氏はこうした経緯について把握していなかったとみられ「米国は、本国にPCBを送り返す措置をいつまで実施していたのか」との記者の問いに「承知していない」とした。
(安里洋輔)