泡盛粕がうま味食材に AlgaleX(うるま市)が食用藻「Umamo」を開発 泡盛培養でDHAが青魚の10倍以上に


この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎
Umamoを開発したAlgalexの高田大地社長(写真左)と日高英祐副社長(中央)、横地俊弘研究員(右)=21日、うるま市の沖縄健康バイオテクノロジー開発センター

 藻類発酵技術による商品開発を手掛けるAlgaleX(アルガレックス、うるま市、高田大地社長)は、藻に泡盛粕を加えて培養した食用藻の開発に成功した。泡盛の製造工程で出る蒸留粕はこれまで廃棄されることがほとんどだったが、独自の技術で藻の培養に活用。天然の植物性うま味食材「Umamo(うま藻)」として9月初旬から一般販売を開始する。

 泡盛粕との培養によって青魚の10倍以上のドコサヘキサエン酸(DHA)を含み、アミノ酸の一種のGABAやアルギニン、ビタミンB12などさまざまな栄養素も含有。高田社長は完全植物性調味料として「ヴィーガン(完全菜食主義者)フード、ハラルフードの料理にも幅広く使える」とグローバルな市場を視野に入れている。

 Umamoは粉末状で、だしを取ったり、料理に振りかけて用いることができる。一部の飲食店向けに先行発売してきた。9月にはUmamoのうま味を生かしただししょうゆ、しょうゆ麹も発売する。

 高田社長が同社を立ち上げたのは2021年。同年、琉球新報社が主催したプレゼンテーションコンテスト「第2回次世代うちなーイノベータープログラム スタ★アトピッチJAPAN沖縄特別大会」で泡盛粕を藻類に与えることで有用成分を含む食品を生み出す事業プランを発表し、グランプリを獲得した。

 藻を培養できる設備があるうるま市の沖縄健康バイオテクノロジー開発センターに本社を置き、泡盛製造の新里酒造(沖縄市)から泡盛粕を仕入れて、Umamoを製造する。新里酒造の新里建二社長は「これまでは破棄していた泡盛粕を再利用して新たに食品を作る技術とアイデアに驚いた。酒造業界にとっても革新的な取り組みだ」と述べた。

Algalexが泡盛かす使用の藻「Umamo」の開発、販売開始

 発売が始まるUmamo、そのうま味を効かせたしょうゆ麹、だししょうゆは、必要最低限の材料だけを使用。含有するDHAは植物から摂取するのが難しいこともあり、不足しがちな栄養素だという。

 ヴィーガン対応の料理も提供するうるま市のビストロ「りゅうさんち」は昨年8月からUmamoを導入。オーナーシェフの加藤龍如さんは「植物由来の代替肉などはあるが、魚の風味を再現するのは難しかった。Umamoを使ってみると魚介のだしとほとんど変わらない深い味わいが生まれた」と話す。客の反応も上々だという。

 Umamoは10グラムで600円(税抜)。だししょうゆ、しょうゆ麹の価格は未定。問い合わせは同社(電話)098(800)1902、または同社公式サイト。
 (普天間伊織)