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SNS戦国時代の新たな課題 真嘉比愛・ちゅらデータ代表取締役 <仕事の余白>


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 イーロン・マスク氏による買収騒ぎの後からツイッター(Twitter)の凋落(ちょうらく)が止まりません。経営を立て直すべく取り組んだ施策の多くはオウンゴールとなって、少なくない利用者を新興SNSへ移行させるきっかけとなりました。中でも、インスタグラムを運営するメタ社が立ち上げたスレッズ(Threads)は、リリースから5日で1億ユーザーを突破して、大きな盛り上がりを見せています。

 これらの変化は、企業のマーケティング戦略をも揺るがします。ツイッターを用いた商品宣伝や顧客コミュニケーションは重要施策の一つであるため、企業によっては広告戦略の見直しやコスト再配分が求められています。

 一方で、インフラとして見たツイッターはより広範な社会へ影響を及ぼす可能性があります。ツイッターは、ニュースソース・緊急情報の伝達手段といった役割を担っており、自治体の災害情報発信の場としても機能してきました。新興SNSがそれらの役割を引き継げるかは不確定ですが、各プラットフォームが独自のコミュニケーションスタイルや規範を持つ中、情報の分散や混乱が生じる可能性もあります。

 この事例は単なるビジネスの失敗にとどまらず、広範な社会経済への影響を示唆しています。これを機に、企業はマーケティング戦略の多様化やリスク分散を進めるべきです。社会全体としても、情報インフラの安定性と持続可能性について再考する必要があるでしょう。