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【スクープ】辺野古の米軍基地建設をめぐって10億円以上の詐欺トラブルか 埼玉県の運送会社が刑事告訴 沖縄県警が告訴状を受理し捜査 “辺野古マネー”めぐる暗闇の一端覗く


この記事を書いた人 琉球新報社

 【名護】名護市辺野古の米軍基地建設への参入をうたう投資を持ちかけられ、埼玉県の運送会社が10億円以上を詐取されたとして、同社が県内の海運会社「尚圓(しょうえん)海運」と、投資話の仲介役となった50代の男性らを詐欺の容疑で刑事告訴し、県警が捜査していることが7日までに分かった。この運送会社は、海砂利を採取する船の購入費や、リゾート開発への出資として資金をだまし取られたと主張しており、県警は2件の告訴状を受理した。基地建設を巡る巨額の投資トラブルが明らかになった形だ。

 告訴状などによると運送会社は、基地建設への参入などを名目に、仲介役となった50代の男性から尚圓海運、リゾート開発会社「琉洋リゾート」(恩納村)、鉱山の開発事業者の計3社を紹介された。そのうち、海砂利採取に向けた船の購入費として尚圓海運に対し、2020~21年にかけて合計約5億円を支払ったという。また、恩納村内のリゾート開発への出資として50代男性に対し、21年に複数回に分け合計約5億6千万円を支払ったとしている。

 だが、尚圓海運から購入した船舶は中古で砂利採取に使える状態ではなく、リゾート計画も頓挫したという。さらに、仲介役となった50代男性と連絡が取れず、行方が分からなくなっている。

 船の購入を巡り、運送会社は損害を受けた5億円の支払いを求め、那覇地裁に尚圓海運を提訴。地裁は運送会社側の訴えを認める判決を4月に出し、すでに確定した。法人登記簿によると、尚圓海運や琉洋リゾートの代表は、滋賀県に住所がある同一の男性に変更されており、資金回収のめどは立っていないという。

 尚圓海運の前代表者は、琉球新報の取材に応じ「(50代男性から)『責任は取らせない』と言われ、名前を貸していただけだ。だますつもりはなく、全ては50代男性の指示で動いていた」などと話した。

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 膨大な「辺野古マネー」を巡って、砂利や資材調達に関する投資トラブルや民事事件が頻発している。県内外のさまざまな人物の思惑が交錯し、企業や個人をだます巨額詐欺疑いも明らかとなった。未曾有の国策事業の現場で今何が起きているのか。その実態に迫る。

(「幻影の辺野古マネー」取材班)

 

 購入した大型船は今も羽地内海に。船に乗り込んだ記者のルポへ