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台風に備える(下)支援「健常者目線」になり過ぎてないか 防災士・稲垣暁さんに聞く


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 7月末から8月7日にかけて沖縄地方全域で猛威を振るった台風6号。沖縄本島地方や周辺離島、大東島地方は、停電や断水が長期化し「台風慣れ」した県民の生活を直撃した。社会福祉士・防災士の稲垣暁(さとる)さんに、台風6号で見えた備えの在り方や避難所の課題などを聞いた。

「台風6号で、停電によるクーラー難民、熱中症の課題が出てきた」と指摘する稲垣暁さん=8日、那覇市銘苅のなは市民協働プラザ

 避難所に多くの住民らが身を寄せた今回の台風。避難所運営の自治体職員も「慣れない点は多かったと思う」と話す。

 「職員は避難者の見回りやケアまではなかなか手が届かない。社会福祉士や保健師、自治会関係者らがいると伴走型の支援や安心につながる」とし、日頃から住民や自治体とつながりのある関係者の存在が避難所設置の際に重要になるという。

 また、福祉避難所の開設が進まなかったことに「完璧な福祉避難所でなくても、最低限給電ができる施設、非常用電源が必要」と説明する。

 さらに災害時の対応が「健常者目線になり過ぎている」と指摘。断水で飲料水を配布する自治体もがあったが独居の高齢者や障がいのある人など「移動が困難な方はどう取りに行けばいいのか」と指摘。他県では給水車の台数を確保し、近隣市町村と給水に関して協定を結んでいる自治体もあり、今後の体制整備の課題を挙げた。

(座波幸代)

(上)停電・断水の前にできること 沖縄特有の課題も