歓迎、落胆…保護者の評価に濃淡 学校給食費の完全無償化「少しでも早く」 市町村による支援の差に不満も


この記事を書いた人 琉球新報社
学校給食センター(資料写真)

 沖縄県が2025年度から第3子以降の学校給食費無償化を検討していることについて、小中学生の子がいる保護者からは歓迎の声が多く聞こえる。一方で、無償化の対象となる第3子がいない保護者にはがっかりした様子もあり、評価には濃淡がある。市町村によって助成の有無に違いがあることに不満を抱く保護者もいる。

 中3、中1、小1の3人の子を育てる女性(42)=豊見城市=は「うれしい。子どもたちは給食をおいしいと言っているし、栄養バランスが取られているので助かる。でも3人いると負担は大きい。負担に感じている保護者は多いのでは」と話した。同市の給食費は中学生が年間4万9500円、小学生は4万4千円になる。ただし無償化の対象となるのは26年度の完全実施からのため、「少しでも早く始めてほしい」と話した。

 小学5年と年長組の園児の息子2人を育てる井上綾華さん(44)=浦添市=は「子どもの食育に欠かせない給食が無償化されるのは、どんな形でもありがたい」と話す。25年度は第3子が対象になることについて「3人以上子どもがいる友人たちが助かるので大歓迎だ。給食費の分を生活費に回せるのは大きい」と語った。

 西原町の公立小学校に1、4年生の娘を通わせる会社員の女性(41)は「知事公約に掲げられていて、期待していた親はとても多いと思う」と評価した。ただ自身の子は無償化の対象にならないため、「不満がないとは言えない。食材が高騰して家計も厳しい。(現状で西原町は支援がなく)住む場所で差が出るのは少し納得がいかない」と話した。
(嘉数陽まとめ)

■全額無償化実施、県内は14市町村

 県教育庁の調べによると、県内市町村で学校給食費の全額無償化が実施されているのは、名護市や宜野湾市など14市町村(4月時点)ある。第3子からの全額助成や一部助成の自治体を含めると、県内では計29市町村が助成制度を設けている。

 第3子から全額助成しているのは伊江村、沖縄市、中城村、渡嘉敷村、石垣市の5市村。一部助成は浦添市や豊見城市など10市町村。一部助成の内容や助成額は自治体によって異なり、牛乳代などの助成(南大東村)や、半額助成(東村、伊江村、北中城村)など、ばらつきがある。

 財源もふるさと納税や地方創生交付金を充てている自治体があり、安定的な財源から捻出できていない現状もある。