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防災分析の鍵となるデータ整備 真嘉比愛・ちゅらデータ代表取締役 <仕事の余白>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 猛烈な台風6号は沖縄県に甚大な被害をもたらしました。多くの県民が停電や断水に見舞われ、危機管理の重要性が改めて認識されました。今回は、データ分析を活用した防災に焦点を当てて考察しようと思います。

 データ分析技術を防災に活用する動きは国内外で拡大しています。県内では、琉球大学が衛星画像を活用した台風の勢力推定AIの構築に取り組んでいます。気象データ解析は、自治体からの情報発信や避難指示にも活用されています。SNSとの連携により、市民からの被害情報がリアルタイムで集まる体制も整備されつつあります。今回の台風においても、Yahoo!防災速報アプリを通じて停電や断水の情報共有が活発に行われていました。

 しかし、こうした技術を最大限に活用するためには、さらなるデータ整備が必要です。例えば、地域の地形や過去の被害実績を考慮に入れることで、台風の勢力予測にとどまらず、地域単位での停電予測や断水予測といったより詳細な被害予測が可能となります。しかし現状では、気象データや停電情報、SNS情報などをそれぞれ異なる機関が管理しているため、横断的かつ高度な防災分析が困難となっています。今後は自治体主導で、これらの情報を一元管理するシステムの構築や、データの公開・共有が推進されることを期待します。

 事前の対策が最も重要な防災において、データ分析は私たちの安全と財産を守る大きな武器となると信じています。