名護市辺野古の新基地建設の設計変更申請で、県の不承認処分を巡る訴訟は、大きなヤマ場を迎えた。県の不承認を取り消した国土交通相裁決を巡る訴訟は県敗訴が確定したが、最高裁は国交相が県へ承認するよう求めた「是正の指示」訴訟の上告は受理した。識者に見解を聞いた。
裁決取り消し訴訟の不受理は、元々難しい訴訟と予想していたので驚きはない。9月4日に言い渡される是正の指示の取り消し訴訟についても県の敗訴が予想されるが、事実上の門前払いをするのか、高裁のように中身まで立ち入って判断するのかどうかによって判決の評価は変わってくる。中身に立ち入らなかった場合、最高裁で県の不承認が違法とは判断されていないと言える。
いずれにしろ今回の訴訟で負ければ是正の指示の適法が確定する。しかし、地方自治を研究する立場から言うと、自治体の判断をぎりぎりまで尊重する趣旨から地方自治法は国が承認を強制するには代執行という手段を別途用意していることに照らせば、是正の指示が適法と判断されてもなお、知事が承認とは別の方法を選択することもあり得ると考えている。
知事には県民投票の結果を尊重する法的な義務がある以上、辺野古埋め立て工事に反対する県民の意思を汲(く)んだ方法を検討すべきだと思う。諦めないことが大事ではないか。
(行政法)