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【スクープ第3弾】辺野古9億円出資トラブル 地元団体役員が交渉に同席 被害男性「信用深めた」 <幻影の辺野古マネー>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【東京】名護市辺野古の新基地建設関連事業への出資を巡り、東京都内の会社を経営する50代の男性=名古屋市在住=が、別の会社経営者に9億円をだまし取られたとする被害を訴えている件で、2020年3月に行われた投資に関する交渉の場に、辺野古の地元団体「一般社団法人辺野古CSS(キャンプ・シュワブ・サポート、CSS)」の当時の事務局長も同席していたことが27日までに、関係者への取材で分かった。

 被害を訴えている男性は「辺野古CSS事務局長」「辺野古区行政委員」など複数の肩書が記された名刺を示され、「辺野古事業を手掛ける地元団体の紹介を受けたことで信用を深めた」と証言した。同席したCSS事務局長は、20年10月に役職を退いている。 

 CSSの前事務局長は、別の一般社団法人を独自に設立し代表理事を務める。同法人は今回のトラブルとなった会社経営者側からコンサルティング業務を受ける関係にあった。

 詐欺被害を訴える50代男性は、複数回にわたり計9億円を出資。会社経営者側がその資金を運用し、事実上の配当である「対価」を支払うとしていたが、22年6月以降から配当の支払いが途絶えたという。会社経営者側に対し現在、警視庁に詐欺罪で告訴状を提出している。

 前事務局長は4月、名護市内で本紙取材に応じた。計9億円の返還を巡る被害を訴えている50代男性と面識があるかを尋ねると、「会席などはない」としたものの、「名刺は交換した」と話した。男性が被害を訴えていることなどについての認識を問うと「こちら側で話せることはない」と述べた。

 一方、6月に新たにCSS理事長に就任した古波蔵太名護市議は8月27日までに取材に応じ、「前事務局長が個人で行っていた活動について関知していない。団体とは一切関わりがない」と述べた。

 告訴状によると、20年3月に被害男性が会社経営者と当時のCSS事務局長と面会した際に、会社経営者が事務局長との関係について、事務局長自身が代表理事を務める一般社団法人の「コンサルティングをしている」などと説明。同法人が展開する事業について、辺野古の埋め立て工事に関わる「重機のリース業」などと説明していた。

 その上で会社経営者が「協力金」と称する実質的な出資金を同法人に預託し、「年利12%」の「対価」と称する配当が得られるとしていた。リース先は「国、内閣府」などとし、「必ず利益が上がる」と出資を呼びかけていたという。

 男性は「社団法人の代表理事が、地元企業の利益調整団体の代表として活動しているという認識だった。米軍基地移転に関わる事業に関与できるものと思い、出資を決めた」と証言した。 (「幻影の辺野古マネー」取材班)

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